レファレンスデータベース作成の経緯
初めに、本レファレンスデータベースの作成にあたり、日本原子力学会(熱流動部会「二相流データベースの評価・整備」研究専門委員会)のご協力に対し深く感謝の意を表します。
本レファレンスデータベースは、日本原子力学会熱流動部会「二相流データベースの評価・整備」研究専門委員会の活動をまとめたものである。
近年、計算機性能の著しい発達により二相流シミュレーシヨン技術開発がいたるところで実施されている。二相流シミュレーシヨン技術開発は、試行錯誤の試験により機器を設計する現状の方法を改善し、機器開発のスピードアップおよび性能の最適化を目的としている。しかしながら、原子力分野においては二相流計算機シミュレーシヨンの信頼性については、いまだ不十分な面も多く、実際、シュミレーシヨンにより機器開発はほとんどなされていない。この主たる原因は、シミュレーシヨンを検証する二相流データベースの評価・整備が十分になされていない事が主たる要因のひとつであると考えられる。
平成13年度で終了した「二相流計測に関する評価」研究専門委員会(主査 工学院大学 小泉先生)では、各方面の二相流データベースの一覧表が作成されたが、各データベースの評価およびデータベース化は実施されていない。 本研究専門委員会は、「二相流計測に関する評価」研究専門委員会の結果を受けて各データベースの評価そして拡充を行った。委員会は、二相流計測技術者と計算機シミュレーシヨン開発者により構成し、両者議論により、より価値あるデータベースの構築を目指した。
この様な背景の下、熱流動部会『二相流データベースに関する評価・整備』研究専門委員会では、①「二相流計測に関する評価」研究専門委員会の結果を受けて各データベースの評価と拡充 ②使用できると判断されたデータベースについての数値化(デジタル化) ③今後のこのデータベースを更新していくための方策の検討 を目的に開始された。
本データベースでは、大項目として基本的な物理量、現象パラメータ、微視的なパラメータを選択し、更に中項目そして小項目に分類し、できる限り広範囲のデータを収集し、コメント欄に評価を記載した。
本委員会のデータベース範囲としては、軽水炉に限定し、液体金属、過酷事故、固液混相流は、範囲外とした。 なお、グラフデータを数値化することは、数値化の精度およびその数値を用いて不具合が生じた場合の責任を本委員会あるいは原子力学会でも持つ事はできないので、グラフ数値化は行わない事とした。
本データベースにより二相流の全てのデータベースを収録できたのではなく、至らないところが大であるが、本データベースが二相流研究の一助になる事を願うところである。
最後に、本データベースは、本委員会の各委員の方々の活発な活動、また多くの方々の協力の下に完成をみたものであり、関係各位に深く感謝する次第である。
主査 東芝 師岡 慎一