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会長挨拶

岩城 智香子
IWAKI Chikako

この度、第33期日本混相流学会の会長を拝命しましたこと、大変光栄でありますと同時に、重責に身が引き締まる思いです。

本学会は1987年に、“混相流の学問・技術体系の確立、国際活動の活性化”などを目的として世界に先駆けて設立されました。機械、原子力、土木、化学といった従来の学問・技術体系に対し、それらを“混相流”という共通基盤的な見地から横串をさす新しい体系の構築により、その活動は学術及び産業の発展に大きく貢献してきました。日本混相流学会の礎を築き今日に至るまで発展にご尽力されました、歴代会長並びに諸先輩方に感謝申し上げますと同時に、今後の継続的な発展に少しでも貢献できるよう、微力ながら精一杯努めさせていただきたいと存じます。

第32期において田中敏嗣前会長は、会員・維持会員の増強という目標を掲げられました。そのためには、学会設立当初の専門分野や産学官を横断するダイナミクスを取り戻す必要がある、との意識付けを図られ様々な施策が講じられました。その結果、この10年余り漸減してきた会員数が、2018年度はほぼ維持されています。これを一過性で終わらせないよう、前会長の方針を引継ぎ、さらなるアクションへと具体化し実行して参ります。

さて、社会が混迷を極める中、我が国は少子高齢化などの深刻な問題に直面しています。また世界的にはSDGsといった国際社会共通の開発目標が掲げられており、これら社会的要請に応える研究開発が求められています。一方、産業界では、デジタル革命などの急速な技術革新のなか、グローバルな技術開発競争が激化しています。それに伴い、より複雑かつ複合的な現象の解明や、膨大のデータの中から有意な情報を引き出すといった新たなニーズも生まれています。こうした環境変化の中、基盤的な学問・技術を扱う学会として地に足のついた活動を積み上げてきた本学会は、新たなニーズにも応える大きな可能性を持つものと考えます。また、エネルギーから環境、医療に至るまで幅広い領域を網羅していることからも、社会的な課題解決に貢献する学会としての期待はより高まり、プレゼンスを増していくのではないでしょうか。

そのような将来像も見据えつつ、今期は、特に本学会への産業界の参画を促すことで、そのニーズを取り込み、研究開発活動のさらなる活性化につなげたいと考えます。本学会には、混相流シンポジウム、レクチャーシリーズなどの重要な集会事業がいくつもあります。まずはこれらの事業を、産業界の視点も取り入れつつ、より魅力的なものにすべく、引き続き検討をしていく所存です。また、本学会の魅力をより広く知っていただくための広報活動にも注力していきたいと考えます。加えて、本学会の財産とも言うべき、あらゆる年齢、ジェンダー、専門分野、国籍の会員の皆様にご活躍いただけるよう、多様性の面からも活性化を図って参ります。

今後も、本学会が会員の皆様にとってさらなる有意義な研究交流の場となるよう、努力していく所存です。理事・委員の皆様、会員の皆様には、引き続きご協力、ご支援を賜りたくお願い申し上げます。

東芝エネルギーシステムズ株式会社
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