会長挨拶
冨山 明男
TOMIYAMA Akio
2017年度日本混相流学会総会において第31期会長を拝命いたしました。赤川浩爾先生のリーダーシップのもと本学会が設立された翌年に入会して以来、本学会はまさに私にとって自分を育ててくれたホームグラウンドであり、混相流の学問的楽しさと厳しさ、素晴らしい人々との出会い、グローバルな研究交流の場など、全てを享受させて頂いた学会です。このような素晴らしい学会を設立し、30年という長い期間、本学会の発展に尽力された諸先輩方に、この場を借りて深く感謝申し上げます。これまで自分が本学会で得た喜びを、会員の皆様全てが享受されるよう微力ながら努力したいと思います。
本学会の主要行事の一つである混相流シンポジウムでは、実行委員会と研究企画委員会の献身的貢献により毎年400名前後の参加者が集まり、極めて質の高い研究発表と議論が活発になされています。本シンポジウムは混相流研究の最新動向を知る最良の機会となっていますが、並列オーガナイズドセッションを基本とするため縦割り構造となり異分野交流の滞りも感じられます。一方、シンポジウム初日に開催される学生フラッシュトーク・ポスターセッションは、多種多様な混相流研究を横断的に学べる絶好の場となっており、学会設立時の理念を具現化しているように思えます。この良い流れを大切にしつつ、混相流シンポジウムが学術的に優れた議論と異分野・同分野交流をより一層深められる場となるよう努力したいと考えています。
長年の懸案事項であった学会の財政問題は菱田元会長をはじめとする歴代会長のご努力により解決され、現在は安定した学会運営ができる状態となっております。この好機に、知の集積と伝承、国際活動強化、若手育成など、今後20年の混相流学会の進展に繋がる取り組みを企画・立案していきたいと思います。
知の集積と伝承という観点では、30年間に蓄積された混相流の学術的・技術的知見を会員の皆様のご協力を得て整理・総括し、書籍あるいは会員専用ホームページなどの形態での公開を進めていきたいと思います。
国際活動強化の観点では、まず、2年後にリオデジャネイロにおいて開催される混相流国際会議ICMF2019への若手参加支援などを通してICMF設立母体としての本学会のプレゼンスを維持するとともに、2022年にアジア地区で開催されるICMFを日本に誘致できるよう準備を進めたいと思います。また、ICMF、日欧二相流専門家会議、日米二相流専門家会議、混相流計測技術国際シンポジウム、国際混相流数値計算手法会議の持続的発展のために、二相流専門家会議の統合や各国際会議開催間隔の調整などを海外の主要な研究者との議論により検討し、これらの国際会議において若手会員が自由に活躍できる環境を整えたいと思います。
若手育成の観点では、レクチャーシリーズ・OMF・学生会・インターナショナルレクチャーコース等の内容・運営方法を再検討し、学生会員・若手会員にとって、参加しやすく有益な企画となるように工夫したいと思います。また、現在一つしかない研究会の数を増強し、混相流研究の将来を支える若手会員に研究会活動を牽引して頂きたいと考えています。
以上の活動を通して本学会に興味を持って頂ける研究者・技術者を着実に増加させ、会員・維持会員の増強と本学会の持続的発展に繋げていければと思います。理事・委員の皆様、ならびに会員の皆様のご支援、ご協力を心よりお願い申し上げます。
神戸大学大学院工学研究科 教授
〒657-8501 兵庫県神戸市六甲台町1-1