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会長挨拶

井小萩 敏明
IKOHAGI Tosiaki

日本混相流学会総会(7月24日開催)にて、柘植前会長より2003年度の会長をお引き受け致し、身に余る大役との思いでございます。

昨今の国際社会の大きな変動は、我が国の戦後社会のあらゆる諸制度を根底から見直さざるを得ない状況をもたらしています。グローバル化やIT革命などに代表される従来のパラダイムを変える多様化した状況に、いかに対応するかが新たに問われており、科学技術の学術分野も例外でなく、根本的な変革の実施が求められているところです。法人化が求められている大学はもとより、学会にもその波が確実に押し寄せてきています。16年前に諸先輩方のご尽力で設立された本学会も、創生期から成長期を経て、会員と社会により開かれた学術団体としてその存在意義を新たに提示すべき時期が到来していると感じています。

ご存知のように、昨年7月1日に本学会の将来構想WGから、これまでの歩みを踏まえた詳細な現状分析と今後の課題について貴重な答申がなされました。前期の理事会ではこの答申書に応えるべく、その内容を課題ごとに仕分けし、アクションプランの議論を深めてまいりました。その中で、まず本学会の運営に対する執行体制を会長のリーダーシップのもとに責任を持って行うため、筆頭副会長制を採ることを提案し、総会で認めていただきました。また、若手や中堅の会員の積極的な貢献が期待できるよう、できる限り適材適所の人選を行う必要性を確認致しました。今期は、答申された多くの課題をさらに検討・精査し、機会を得て順次実行に移して行きたいと思っています。その際には、異分野を横断する混相流の学問体系を追求する我が国唯一の学会の位置付けを見失うことなく、特色ある学会活動を推進していかなければならないことは言うまでもありません。 本学会は設立以来、混相流の基礎学理を追求してきた輝かしい伝統があります。これは、本学会が日本学術会議の登録団体として現在も「混相流シンポジウム」をお世話していることからも分かります。一方、本学会から世界に発信され、来年再び開催予定の「国際混相流会議(ICMF)」(横浜)などの国際交流活動や、研究会などを通じた地域活動にも実績を挙げてきました。しかしながら、これからの学会のあり方として、社会への啓蒙活動や混相流技術に関わる人材育成、産業界と研究機関を取り持つリエゾン活動などにも大きく貢献すべきことが求められています。そのような意味では、外に開かれた運営ならびに企業会員や大学等の若手会員に対して魅力ある運営を目指していきたいと考えております。

幸いにも、今期は有冨筆頭副会長をはじめ、三島・村瀬両副会長ならびに若手を含む強力な人材を理事会メンバーに迎え、本学会の将来に向けた具体的な変革を実施する1年にしたいと存じます。会員の皆様にも、学会運営に対する活発な議論と学会活動への積極的な参加を是非ともお願い致しますとともに、本学会のさらなる発展を祈念して、就任の挨拶とさせていただきます。

東北大学流体科学研究所 〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1
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